「この店を選んで買いに来て欲しい」/ 自転車との出会いのおはなし

欲しいものがあれば、スマホを持って

ワンクリックで買うことができる

便利な時代。

 

田舎に住めば住むほど、ネットで買い物することは

なおさら便利だから、ついついネットショッピングをしてしまう。

そして、買ったものはネット上で売ることができる。

 

そんな風に、モノを消費的に売買できる時代だからこそ

逆に「ストーリー」というものがやけに重視されるようになっているなあと感じる。

 

どのような思いで作っていて、どのような人に届けたいのか、どのような気持ちになって欲しいのか、という作り手のストーリー。

 

今日のブログは、いつもとはちょっと違う雰囲気で

自転車との出会いのおはなしをしていきます。

 

 

ある自転車屋さんとの出会い

 

今年の春に学校から少し離れたところに引っ越しをするのと

東広島のまちをもっと探検してみたくて

自転車を買うことに決めた。

 

インスタグラムで「クロスバイク」を検索。

お店の前でお洒落な自転車とその自転車を買った人が一緒に映る写真が目についた。

すぐに調べた。

そのお店の名前は「popgrumpy

自転車は「tokyobike(トーキョーバイク)」というメーカーだった。

 

まず、自転車のデザイン性に惹かれて

popgrumpyのインスタにあがっている写真を

「これいいなぁ」「こんな素敵な自転車あるんだ」と思いながら

見ていたら、夜中の3時くらいになっていた気がする。

tokyobikeの公式サイトを見て、好きなモデルと色を選択して

ポチっと購入しようと思ったが、さすがに大きさが分からなくて不安だったので

購入はそのときは一旦やめた。

 

popgrumpyのインスタを見ていると、

大体は自転車を買ったお客さんと自転車が写っている写真だが、

たまに数人が自転車でお出かけしている写真が上がっていた。

 

見てみると、

「今日はモーニングライドして来ました」とのこと。

色違いのtokyobikeの自転車が並んでいて、

パン屋さんに行っていた。

 

へぇ、popgrumpyを中心に

自転車のコミュニティがあるんだなぁと思い

自転車のデザイン性だけじゃなくて、

お店自体に魅力を感じた。

これはただの自転車屋さんじゃないぞ、と。

 

どこにあるのかな〜と思って調べて見たら

広島県広島市東区光町 1丁目6-22」

運命を感じてしまった。

大学に入学する前だったら、お店に足を運ぶことはできなかったけれど、

何かの縁で広島に来て、魅力を感じたお店が同じ県にあることに。

 

その週末に広島市内に行くことが即決した。

1月27日に「市内に遊びに行く!」と書いた。

 

 

生活に寄り添った自転車を

 

お店の場所は広島駅北口から徒歩10分とのこと。

北口の方に出たのはこの日が初めてだった。

 

広島に来てから、市内に用事はあっても

全て広島駅南口の方向だった。

原爆ドーム、本通りなど

賑わっているところは南口の方向にある。

路面電車も同様。

 

Googleマップを見ながらpopgrumpyを目指す。

まるでポケモンGOをしている人のように、

スマホを片手に知らない道を歩いていく。

 

もうお店はすぐそこだ、とドキドキしながら

ローソンがある角を右に曲がった。

 

スマートフォン越しに見ていたお店に着いた。

店頭には自転車が並んでいて、思っていたより

ずっとコンパクトなお店だった。

 

スライド式の透明で大きいドアを開けて、

お店に入った。

お店にはお客さんはわたしの他にいなくて、

店員さんが2人いた。

 

お店に行く前から、

tokyobike26というモデルを絶対今日買おうと決めていたのだが、

店員さんが1から全て説明してくださったので

知らないふりをした。

 

「どんな自転車をご希望ですか?」

と聞かれても、

「tokyobike26で」とどうしても言えなかった。

代わりに、引越しをする旨を伝えて

そこからお店の人との会話は始まった。

 

東広島から来たこと、

引っ越ししてシェアハウスを始めること、

宮崎出身で、広島との交通で相性が悪いこと、

東広島のローカルウェブメディアの編集長をやってること

 

「じゃあ、tokyobike26にします。」

そんな会話をしていく中で、

やっと伝えた。

 

自転車のモデルが決まったら、

次はカラー選び。

お店にある自転車を見ながら

popgrumpyオリジナルカラーの

カフェオレベージュに決定。

柔らかい色のかわいさと、わたしが大好きなブラウンのコートにお似合いだったのであまり悩むことなく、サクッと決定。

 

次は、自転車のアクセサリー品選び。

カゴはつけるかどうか、

ライトやベル、ロックは何にするか。

ひとつひとつどこで作られたものなのか、価格を比較しながら性能を説明してもらって、選んで行った。

「新しい家までの道は結構暗いですか?」

「大学内には屋根がついてる駐輪場はありますか?」

親身に考えてくれる。

 

ここで、ちょっと疑問に感じた人もいるのではないでしょうか。

そんなひとつひとつ選んでいくの?と。

 

そう、popgrumpyのホームページにはこうかいてある。

 

機能が優先でも、軽さが優先でもなく
季節の風や街の息遣いを感じられ、何処へでも行きたくなるような
自分らしく楽しく乗ることのできる自転車。

大量生産ではなく、作り手の想いと丁寧さに溢れた靴。
毎日の通勤、通学でも快適で使い勝手の良いバッグ。
ちょっとしたサイクリングで、みつけたもの、思いついたものを書き留めるノートとペン

使うひとの日常がきっと豊かになる
pop grumpyでは、そんな生活に寄り添った自転車や雑貨を選んでいます。

モノの使いかた、感じかたは人それぞれ。
自分に合ったモノを探しに、是非いらしてください。

(popgrumpy ホームページより)

素敵。

 

しかも、リフッシュプランと言って自転車の塗り替えや整備も3万円くらいでしてくださるので、直しながら長く大切に使うこともできる。

 

お店を中心に自転車のコミュニティができる理由がなんとなくわかったような気がした。

 

 

お店は人通りの少ない場所に

 

「実はインスタでお店を見つけて、絶対ここで自転車を買おうと思ったんです。」

 

全て選び切って、お会計をしている間

サービスのコーヒーを飲んでいるとき

やっと言えた。

 

初めて広島駅北口の方向に来たことも伝えると、

「そうですよね、こっちにはあんまり人は来ないですからね」

そして続けて、

「だから、あえてお店の場所はここにしたんですけどね」と言われた。

 

インタビュー記事だったらここで

「というと?」と入ると思うが、そのまま言葉は続き、

 

「この店を選んで買いに来て欲しいし、そうやって来てくれたお客さんを大事にできる自転車屋さんを作りたかったんですよ。」

 

その言葉に思わずゾワッとした。

そのお客さんに自分がなれたことがただただ嬉しかった。

 

自転車コミュニティのことも尋ねると、

「お客さんが急に集まろうって言ってくるんですよね」、それだけだった。

「イベントとして開催することを公に言ってしまうと

自分の知らない人が増えすぎちゃって大変だし」と

不定期開催のようだった。

 

でも、決して排他的なわけではなくて

「ぜひお友達でも誘っていつかきてくださいね」と

言ってもらえたので、誰か誘って、カメラを持って行きたい。

 

それから2週間後くらいに

お店に再び行って、自転車を受け取った。

もう一度、自転車に関する説明を受けて、

店頭で自転車と写真を撮ってもらった。

 

「新しい自転車と嬉しそうな瞬間を撮っておきますね」

インスタにあがるのを楽しみに待つ。

 

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自転車を買いに行ったのだが

もらったものは自転車となにかもっとあたたかい何か、

そのような気がする。

 

今、アパートの駐輪場にとめてある自転車には

こんなストーリーが詰まっていて

自転車と出かけるときはいつも

というとちょっと嘘だが

ふと気付いたときに思い出すことができれば

いつでも幸せな気持ちになれそう。

 

おわり。

 

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忘れたくないこぼれストーリー

 

サービスのコーヒーで

エスプレッソを頼んだら

カフェインの原液にほぼ近いものだということを知って

一緒に出てきた水の意味を知った。

 

カッコつけにも優しい対応で、

エスプレッソのお話をしてくれた。